高校野球指導者からのQ&A(第3回)

⑫高校生と大学生の指導法の違いはありますか。

・強制する所と任せる所のバランスの違い
・基本的に大学生だからこう、高校生だからこう、というよりもその人間に合つた指導をするという事だと思っています。高校生でもしっかりしている人間はちょっとサポートしてあげるだけでどんどん伸びていきますし、大学生でも幼い人間がいます。
・心を掴むのは大学生の方が難しいです。だからこそ、その人の何を刺激すればいいのかの把握、見極めがより重要です。
〃   掴めばいいのか
その人が今、何を考えているのかを察してから、指導、アドバイスする。的外れな所をいきなり指導すると、特に大学生は信頼を失いかねません。表面上は聞いているふりをしますが。

高校生の場合は考える力のある人間は上記の大学生のような事があると思いますが、一般的には「はい」と言うだけで、そこに理解や疑間が生まれない事が多くあると思います。

 

⑬コンバートは、どのようなことを考えてされていますか。

・性格、技術を把握した上で行います。一番大切なのは本人の意思、希望です。
チーム事情でコンバートする時には、本人と話をします。
本人が納得しなければ、コンバートする事はありません。

 

⑭学生として、どのような指導をされているのか教えてください。

・部訓、5つの約束(感謝・挨拶。時間・清潔・約束)
・人として、社会人予備軍としてどうあるべきか。どう学んでいくべきか。
・大学4年間が、幸せな人生を生きるための準備期間・訊1練期間になっているかどかを常に考えています。
・押しつけにならないように注意しているが、世の中の不変なもの(原理原則)は素直に言い切ります。押しつけだろうが何だろうが強制。徹底させます。最終的には「理解」「納得」というところに持っていくよう指導していきます。

 

⑮野球・学生・生活のバランスについて、どのような規制をされているのですか。

・規制はしていません。
・自分で判断して行動できるように教育し、さらにチーム内ルールを徹底させています。
・時期によってバランスを変える(あえて変化をつけて、脱マンネリ)

 

⑯打撃の技術指導について、1番大切にされていることを教えてください。

その人間が最も「振れる状態」を作りたいと考えています。
そのためにメニューとしては、素振り、ハーフバッティングを重要視しています。
・トップの形成
・スイングの軌道作り
・下半身始動、下半身主動
・縦軸、横軸、全体のバランスの確認、体の開き具合の確認。
・欠点に見える箇所でも、その人の独特の感覚や使い方があり、それをいじつてしまうと、一見良くなったかのように見えても実際には打てなくなってしまうという事があるので注意しています。
しかし、基本的にはねじれ、歪み、ブレーキといつたものは無い方が良いと思っています。
・タイミングの確認(始動のタイミングはどうか?)
・打席での精神状態のチェック、指導
・その人間の良い時の体の使い方、精神状態はどんな時なのかの把握、記憶、記録、メモ。
・その人間の悪い時の体の使い方、精神状態はどんな時なのかの把握、記憶、記録、メモ。
・打席での狙い方、配球の読み方のミーティングと日常からの訓練。
打撃15項目
(1)ボールになる低めの変化球を見極められる事
(2)変化球を狙い打ちできる事
(3)ストレートを狙い打ちできる事
(4)外角打ちが上手い事
(5)内角の厳しい球を最低限ファールにできる事
(6)ワンストライク目、ツーストライク目を『自分のスイング』で打ちにいける事
(7)ツーストライク目以降、相手投手が投げ込んでくる厳しい勝負球を打つorファールにするor見極める事ができる事
(8)打点を取る為の打ち方、狙い方を理解していて、実践できる事
(9)バントができる事
(10)反対方向打ちができる事
(11)基本的なスイングスピード、スイングのキレ、強さがある事

トスやハーフバッティングは良いけど、試合では打てないという選手はたくさんいる

(12)相手投手の能力、調子などを見極め、打席での対応策を立て、実践できる事
・試合前(偵察段階)
・打席の直前まで
・打席終了後から次の打席までの間
・打席の中で、1球1球の間で

(13)相手投手の失投を逃さず打つ事ができる事 = 集中力 ≠ 言い訳
(14)「その打席」での自分の役割を瞬時に理解・認識し、実践できる事
(状況判断能力があるか)
(15)バント、セーフティーバント、セーフティースクイズ、スクイズ、バスター、バントエンドラン、ヒットエンドラン、盗塁…。
各分野のスペシャリストが何人生まれるか?

 

⑰守備の技術指導について、1番大切にされていることを教えてください。

・正しい体の使い方でキャッチボールをしているかどうか
〃       しようとしているかどうかの確認
・正しい体の使い方でゴロ捕球をしているかどうか
〃     しようとしているかどうかの確認
・捕る~投げるの繋がりの確認
・タイミングの確認
・基本の徹底(基本とは何か?指導者としての考え方がまとまっているか。それが選手に浸透しているか)
・エラーをしない守備か?試合の生きた打球をアウトにするための技術になっているか?ノックの打球はアウトにできるが、試合の打球ではエラーをするという事がある。
=打撃の性質に合ったさばき方ができる選手になっているか。
・ゲームノックや実戦での判断力育成。
〃     正しいキャッチボールカの養成。